第3回 CDTC セミナー
第3回 CDTCのセミナーへ行かせていただきました。
今回は主に上の犬歯(糸切り歯)の支台歯形成および切開(歯茎を切る)、縫合(糸で切ったところを結ぶ)、
プロビショナルレストレーションの作成を実習で学び、歯周外科および不正咬合の基礎を
講義で学ばせていただきました。
まず最初に犬歯と言われる前から3番目の歯の支台歯形成について学ばせていただきました。
犬歯は前回の1番前の歯に比べて先が尖った形状をしているため、支台歯は将棋の駒のような形になります。
前回の1番前の歯と異なる点は、犬歯の内側は中央舌側隆線と呼ばれる太い隆起が存在するため、
その隆起を中央とした2面形成になる点です。
今回はインストラクターの先生から、支台歯形成をするときは歯とバーとの位置関係と
グリップの重要性に関して再度指摘を受けました。
次にプロビジョナルレストレーションの作成に関しての実習です。
プロビジョナルレストレーションとは支台歯形成した歯に被せ物を作るための前の仮の歯(Temporary Crown)のことです。
仮歯とプロビジョナルレストレーションに大きな意味の違いはないですが、
プロビジョナルレストレーションは最終的にはめる被せ物の噛み合わせや色の指標とするニュアンスが強いです。
実際にはここまで精密に作ることは少ないですが、今回は最終的にはめる被せ物の見本とするために厳密に、
細かいところまでしっかりと作っていきました。
そのためには理想とする歯と歯茎の形態について知る必要があります。
サブジンジバルカントゥア、エマージェンスプロファイル、ガルウィングと言われる言葉を理解する必要があります。
ざっくりと言ってしまうと、歯の頭と足の間の部分の境界から1mm頭側に自然な膨らみがあり、
歯と歯茎の間の立ち上がりが滑らかで、歯と歯茎の移行部分に凹凸がある形態が理想的であるということです。
プロビジョナルレストレーションは目的によってブリッジタイプのもの、1歯の被せ物タイプのもの、
当院では行いませんが金属でできたものなど様々な形や素材のものがあります。
今回はその中でも最もシンプルな前歯の1歯の被せ物のものを作らせていただきました。
このプロビジョナルレストレーションの作成方法には3種類の方法があり、
今回はその中でも最も基本的な方法である間接法について学ばせていただきました。
次に切開および剥離、縫合の練習です。
練習にはこの練習用のプラスチックとゴムでできたものを使用しました。
切開・・・切開にはどこまで切るかで主に2種類に分けられます。
それは歯茎と骨の間にある「骨膜」と言われる部分を切るか切らないかで名称が二つに分けられます。
歯茎と骨膜の両方を一塊にして骨から剥がす方法を「全層弁」、
歯茎のみを切り骨膜を骨側に残すように切る方法を「部分層弁」と言います。
全層弁
・メスの刃先1mm以内でまず外形線に沿った切開線を作り、次に骨面まで切開を進める
・骨膜剥離子で歯肉弁を骨膜ごと骨面から剥離する
部分層弁
・メスの刃先1mm以内で外形線を描く
・一定の厚みになるように注意しながらメスを倒して骨面に向かって切開を進める
・深さを3mm以内にしながら歯肉弁を形成していく※一度に3mm以上切開を入れない
・切開の最後はメスの先を回す
と言う違いがあります。部分層弁では骨膜を骨側に残して切開する必要があるので、
全層弁に比べて魚の3枚おろしのように骨膜と歯茎を切り離すように切開する必要があると言うことです。
その途中で歯茎をメスで突き破らないように慎重に切開していきます。
また、全層弁では剥離子というスプーンのような歯茎を開く器具を使用しますが、
部分創弁ではメスとピンセットのみで歯茎を開いていきます。
この二つの種類の切開方法の違いには以下のような意味があります。
骨膜には血液など骨に栄養を送る重要な役割があります。全層弁の場合は歯茎と骨膜を分離させないため歯茎に栄養がいき、
歯茎が壊死しづらいです。それに対して部分層弁は歯茎のみを骨膜から剥がすため、
歯肉の位置を下げたり横へ移動させたりする時に行います。
この部分創弁と言われる剥離は歯周外科と言われる、
歯を支えている歯茎の形を整えたり骨の形を整えたりする時に主に行われます。
次に縫合(糸で結ぶこと)です。
縫合とは切開を入れた部分を糸で縫い切り離された組織同士を所定の位置に置くことを目的としています。
これにより創縁の安定と血流の確保、正常で速やかな傷の治りを促すことができます。
縫合はその手術の目的と用途に合わせてたくさんの種類があります。
ポイントとして、「糸が切られた部分の歯肉の内側を通っているか外側を通っているか?」です。
内側をとっているものは正縫合、外側を通っているものは逆縫合という呼ばれ方をします。
糸を閉めるときは糸が通っている側が強く閉められますので、正縫合では歯茎の内側が、逆縫合では歯茎の外側が主に閉められます。
外側を閉めたら外からの感染防止につながり、内側を閉めると歯茎と骨がしっかりと吸着します。
次にざっくりとした歯周外科の目的についての講義です。
歯周外科の目的は歯を支えている歯茎との間にある起炎因子および炎症性病変の除去と、
歯と歯茎の間の環境を改善し、病変が溜まりづらく清掃がしやすい環境に整えることです。
環境を変える必要があるので、骨を削るための器具、歯茎を切る器具、
不良な組織を除去するための器具と特殊な器具をたくさん使用します。
まだ学習したことはありますが、今回はこの辺りで終わりとさせていただきます。
次回は来月も書かせていただきますのでよろしくお願いします。