第6回CDTCセミナー
こんにちは 勤務医の山本です。
今回は6回目のCDTCのセミナーへ行かせていただきました。
今回のセミナーでは主に根管治療と言われる歯の根っこの中の治療について学ばせていただきました。
根管を治療する上で重要なことは機械的清掃と化学的清掃です。
まず機械的に清掃するとは歯の中の根管と呼ばれる管を「ファイル」と言われる針金のような器具で掃除をすることです。ファイルで根管の中を掃除するときの注意点として、
・円形ではなく楕円形の拡大を心がける
※楕円形での拡大
楕円形にすることでファイルと根管の間にスペースを作ることができ、ファイルで清掃したときの削除片が上部へ排出される
・パラレル(平行)ではなく、順次テーパーを持たせて形成する(漏斗状拡大)→フレアー形成と言われる
・根管壁は波立たせずに連続した平滑面で仕上げるなどがあります。
次に根管の形成についての手順について4つのパートに分けて説明していきます。
歯には歯冠と言われる頭の部分に歯根と言われる足が存在し、足の部分を歯根と呼んでいます。その歯根には根管と言われる管が神経を入れて存在しています。
今回の治療ではクラウンダウン法と言われる方法で歯の中の管を清掃していきます。クラウンダウンとは
クラウンダウンを考える上で歯を4つのパートに分けて考える必要があります。それは、
1、歯冠部の髄室開拡
2、根管口〜根管上部
3、根管中央部
4、根管下部〜根尖部
と言われるパートです。
それぞれのパートで重要なことは、1→髄室開拡(歯に穴を開けて歯髄を解放すること)を正しく行い、
それぞれの歯の特徴に合わせた削合の起始点を置く(歯軸と近遠心面を意識して行う)
2→根管口〜根管上部 サービカルデルタ(エンド三角と言われる象牙質の張り出しのこと)が器具を根管内に挿入する際の障害壁になるので、
この部分を取り除き、ファイルをより直線的に使用できるようにする
3→根管中央部 根管上部と下部の移行部なので、その移行をなだらかに仕上げる
4→アピカルシートと言われる根管に防腐剤を詰めるとき防腐剤が根管の先から漏出してしまわない形態作りを行う
今回そのほかの大事な知識としてゲージングと言われる方法について学ばせていただきました。
ゲージングとは、根管の先までファイルを回さず抵抗なく到達できる最大限のKファイルの大きさを確認し、
その太さのファイルの太さから2〜3番太いファイルまで拡大形成して根尖部を封鎖することです。
次に化学的清掃に関して重要な根管治療用薬剤に関してです。
機械的清掃を十分に行なったのち、薬剤をきちんと使用することでより効果的に根管内に存在する細菌を消毒することができます。
薬剤を使用する上で重要なことは、それぞれの薬剤の効果、効能をきちんと把握し、
それをどのような時にどのような順序で使用するか?ということにあります。
根管治療で使用されている薬剤の効果、効能についての表です。
根管の清掃に使用する薬剤には主に洗浄薬剤と貼薬薬剤と言われる薬剤が存在します。
今回は先に洗浄薬剤と言われる薬剤について説明させていただきます。
当院では主に次亜塩素酸ナトリウム(プールに入れる薬)とクエン酸を主に使用しています。
この表で重要なことはスメア層に対する作用の項目です。
スメア層とは切削を行なった時にでる削りカスが歯の内部に詰まって形成される層のことです。
これは細菌の感染源になるだけでなく、根っこの治療をした後の歯の接着力を弱らせ、土台や被せ物が脱離する原因になります。
スメア層には無機化合物と有機化合物の両方が存在するので、両方を溶解するような薬剤を併用することが良いとされています。
当院ではクエン酸で無機化合物の除去を行ったのち、次亜塩素酸ナトリウムで有機化合物の除去を行っています。
次亜塩素酸ナトリウムは洗浄後の液が白濁がなくなり透明色をするとしっかりと清掃できているものとします。
次に貼薬と言われる根管内に注入しておいておくタイプの薬剤についてです。
これは水酸化カルシウムと言われる薬剤を基本的に使用します。
水酸化カルシウムは強アルカリの薬剤で根管の中に入れると1週間から2週間で90%ほど溶解していきます。
この薬には根の先の鎮痛、消炎や打診痛に効果があります。
この歯の中に薬を入れる作業を貼薬と呼びますが、貼薬は根管内の綺麗な状態を保持するために行います。
根管充填
次は根管充填と言われる歯の中の清掃をおこなったのちに行う防腐剤を詰める治療についてです。
根管には分岐や側枝、フィン、イスムスなどといった複雑な解剖形態が多く存在します。
今回はシングルポイント法と言われる方法で根管の中に防腐剤を詰めていきます。
使用するのはシーラーと言われる薬剤と一本のメインポイントです。
まずシーラーを根管1本あたり4mm程度の長さ分出します。
その後シーラーをチップ内に挿入後、ガスケットに入れてシリンジに装着します。
上のような手順でゆっくり引き上げるようにシーラーを挿入したらメインポイントを挿入して根管充填は終了です。
普通の方法よりもより早く根管充填できるため、実際の診療でも積極的に導入しようと考えています。
今回のセミナーで学習したことはまだありますが、今回はこのぐらいで終わりとさせていただきます。
次回は9月に再度あるのでまたよろしくお願いします。