CDTCのセミナーへ行ってきました
みなさんこんにちは 勤務医の山本です。
今日は3月18日、19日に開催されたCDTCのセミナーに行かせていただきました。
このセミナーは主に上下の歯の噛み合わせや上顎と頭蓋骨の位置関係などをより厳密に診査、診断することを目的としたセミナーでした。
このセミナーの講義の目的は主に、包括的歯科治療の流れを理解することです。包括的歯科治療とは患者さんをみて病状や病態、全身疾患などを把握(総合診断)し、それに対して治療計画を立ててスムーズな効率の良い治療の順序建てをすることです。
1日目は主にその包括的歯科治療の中でも総合診断のために必要な手技であるセントリックバイトの採得、口腔内写真の撮影、プロービングについて学ばせていただきました。
セントリックバイトとは何でしょうか?セントリックバイトとは中心位と言われる人の上顎と下顎の位置関係を記録した噛み合わせのことです。
人の顎は図のように上顎に対して下顎が「蝶使い」のように下顎の突起の部分が上顎の陥没部にはまり込み顎が開閉しています。
この下顎(したあご)を動かしているのが咀嚼筋と言われる筋肉で、主に下顎(したあご)と上顎(うわあご)の結ぶように何個か存在しており、これらが伸び縮みすることにより口が開いたり閉じたりしています。
中心位とはこの咀嚼筋と言われる筋肉が噛み合わせに関与せずリラックスしており、力が入っていないような下顎の位置を示します。厳密な定義としては
1、両側の顆頭が顎間接内で、関節結節の斜面と向き合う前上方の位置
2、上下の歯牙が接していない位置
3、左右の顆頭をむすぶ軸を中心に、純粋な回転運動を行う範囲内であること
4、この位置から緊張なく上下、前後、左右に運動できること
5、再現性のある位置
となっています。このバイト(噛み合わせ)を取る目的は患者さんが最もリラックスしている下顎(したあご)の位置を決めることにあります。患者さんの筋肉に無駄な力が入らずリラックスしている状態になってもらう必要があるため、椅子の傾きも全身の力が最も抜けるような少し後ろに倒した体勢でバイトを取る必要があります。
次は「口腔内写真」と言われる写真の撮影方法についてです。
歯科医院で唇を引っ張って鏡を入れられカメラで写真を撮られたことがある方も多いと思います。それは患者さんの口の中を実際に見た状態を歯科医院で見られるようにするために写真を撮っています。写真も綺麗かつ奥の歯までしっかりと撮影されていることが必要ですので、そのように取るためには何を基準にどのようなことを目標に撮影すれば良いのかを学ばせていただきました。
次に2日目の講義です。
2日目は主にフェイスボウトランスファーと咬合器と言われる装置について学ばせていただきました。
フェイスボゥトランスファー
パナデント型咬合器
このフェイスボゥトランスファーは実際の治療で実用する機会は少ないのですが、頭蓋(とうがい)に対する上顎(うわあご)の位置を咬合器にトレースする目的で、咬合器は主に上顎に対する下顎の噛み合わせをより生体に近い状態で、よりリアルに模型上に患者さんの顎の動きを再現するために使用されます。この二つを組み合わせることによって、頭蓋骨(ずがいこつ)と上顎(うわあご)の位置関係、上顎(うわあご)と下顎(したあご)の位置関係をより再現度の高い状態で操作し、より精密な入れ歯や詰め物、被せ物を作る事ができます。フェイスボゥは当院では自費の入れ歯を作る時のみ使用しています。
次に咬合器の取扱い方法についてです。人の顎は単純に開け閉めすることによりものを食べたり動かしているわけではありません。
前にスライドさせたり横に移動させたりする事ができ、それに応じて下顎頭と言われる蝶使いの突起の部分が細かい動きをして顎が動き、物を食べています。また、それらの動き方は人によって異なり、それを模型上に再現するためには非常に複雑な操作が必要になります。
その動きを細かく患者さんの口の外で再現するために、この「咬合器」と言われる器械を使用します。
操作方法は複雑なため今回は省きますが、患者さんの頭とそれに対する口の中の状態をより実際に近い状態で口の外で再現するためにこれらの器械を使っているということです。
あまり詳しく話すと長くなるかと思われますので、今回はこの辺りで終わりとさせていただきます。次は4月にまた開催されます。このセミナーは今月から約1年かけて行われます。非常に長丁場になりますが、やるからには吸収できるものは全て吸収していきたいと思うのでまたよろしくお願いします。